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赤字に悩む音楽家へ

音楽活動にはおカネがかかる!?
赤字に悩む音楽家へ

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音大生のみなさん、あるいは音楽活動を始めてまもないというみなさんで、

ひょっとしたらこんな悩みをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

 

「リサイタルにオーケストラ共演…実はこんなにお金の負担があるなんて知らなかった!」

 

お金の負担とは、いわゆるチケットノルマのこと。

もちろんチケットが売れれば問題ないことだし、

コンサートを実施する以上、集客に努めるのは当然の事。

 

しかし!!

 

音大で音楽の鍛錬をしている最中に、

チケットを買っていただける100人、200人の人脈を形成することは、

 

まずもって難しい!

 

という現実があります。

そこで、冒頭のような悩みにぶち当たり、

 

「この調子でやっていけるのだろうか…」と、

 

音楽家として生きていくことに対して、不安になったりするわけです。

 

 

何を隠そう、私もその一人でした。

音大卒業まもない頃に出演したコンサートの例を挙げると、

 

オーケストラ共演には100万円分のチケットノルマ、

単独リサイタルには50万円分のチケットノルマがありました。

 

出演させていただけるのは大変名誉なことだし、

後々の活動にプラスになる、

 

というわけで、

なんとかまわりに迷惑をかけながらも、出演させていただきました。

 

まわりに迷惑をかけたというのは、

例えば、

親に経済的負担をかけたことや、

家族や恩師を含め自分を応援してくれる方々に宣伝にご協力いただいたことなどです。

 

この高額なチケットノルマ体験は、

音大卒業したての私に鮮烈な印象を与えました。

 

「この調子ではやっていけない。」

 

焦りから、私は就職活動へと奔走したのでした。

 

 

その後私は、

就職先での仕事と音楽活動の二足のわらじをはき、

経営についても本格的に勉強をする機会を得ました。

 

そうした経験を経た後の、今になってみれば、

冒頭の悩みにぶち当たっていた当時の自分に、

 

そっと教えてあげたいことがあります。

 

それは…

 

「焦らなくても大丈夫。これは音楽家人生のうちのほんの一時だけのことだから。」

 

 

これは決して、

 

適当に過去の自分をなぐさめているわけでも、

楽観的になりすぎているわけでもありません。

 

実は経営学では、

それが事例研究によって理論化されているのです。

 

経営学に、

「プロダクトライフサイクル理論」という考え方があるのをご存知でしょうか。

 

これは、製品(や事業)が人間と同じように、

誕生し、成長し、成熟し、死んでいくというものです。

 

そしてライフサイクルの形状については、

S型曲線を描くというのが一般的といわれています。

S型の曲線は利益を表しており、

初期は沈み、その後上向きになり、またしばらくすると下がるというものです。

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そう、活動初期の赤字はこの理論でいうところの一般的な事であり、

これはずっと続くわけではなく、

S型に変化していくものだということが、

 

多くの経営学者たちの、

事例を基にしたこれまでの研究から明らかになっているのです。

 

活動初期が赤字になりやすい理由は、

例えばクラシックピアニストの場合、

 

活動を始めた初期の頃は、

コンサート出演実績やCD等音源販売実績を作ることが必要である一方、

まだファンの育成が追い付いていないことが多いもの。

そのため、チケットノルマや音源制作費用の一部を収入で賄えず、

自ら負担する必要が生じることが、活動初期の赤字を招くのです。

 

この理論では、

導入期(創業期)の赤字になってしまいやすい時期の戦略として、

事業拡大や市場確立を目指し、

「認知」されることをマーケティング目標にして努力することが、

S型の次の段階、

 

つまり、

 

利益がでてくる成長期・成熟期へと移行する条件だと説いています。

 

音楽活動を始めてまもない時期の赤字は想定内と考えて、

とにかく多くの人に認知していただけるよう、

 

できるだけ多数のコンサートに出演し、人とのつながりを得たり、

インターネット等で発信をしたりすることに努力を惜しまなければ、

 

必ず苦しい状況から脱することができます。

 

 

ここまで書いてきたことが、

これから一歩を踏み出そうとしている音楽家の、

 

勇気と希望につながれば嬉しいです。

 

それでは今日はこの辺で!

今日も素敵な音楽を奏でましょう♪


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