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音大出て就職するのは音楽を捨てることか?

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こんにちは。おんじゅく代表(=音楽家のしごと塾) のじま えみです。

今日は、音大生と就職について書いてみたいと思います。

 

「17%」

 

これは、音大生のうち一般企業に就職する割合です。※

 

就職は、

自分を必要とする会社で働く機会が持てる、

 

ポジティブなもののはず。

 

しかし、

音大生の場合、その心情はやや複雑なようです。

 

就職したら、

練習時間はとれるのか?

もはや音楽家としてみられないのではないか?

そして、

 

音楽活動が出来なくなるのではないか?

 

という不安。

 

音大の就職課には、

「音楽を続けるか捨てるか」という、

切羽詰まった悩みを抱えて訪れる生徒が多いそうです。※

 

※大内 孝夫「音大卒」は武器になる(2015)ヤマハミュージックメディア

 

■就職は音楽を捨てることか?

就職=音楽を捨てること

というイメージをお持ちの方がいるかもしれませんね。

 

しかし現実を見てみると、

就職をし、所属する企業等の仕事をしながら、

 

リサイタルを開催するピアニスト

人気声楽グループの一員として多くの出演・録音をこなす人

など

 

私の周りだけでも、たくさんそのような音楽家がいらっしゃいます。

 

就職は「音楽を捨てる」ことではなく、

 

むしろ逆に、

「音楽ができる」ということなのです。

 

■就職は「音楽ができる」ということ

なぜ就職によって「音楽ができる」ようになるのか。

その理由のひとつは、

経済的に自立できる からです。

 

音楽活動にはおカネがかかります。

 

ピアニスト青柳いづみこさんは、

著書「ボクたちクラシックつながり」のなかで、

 

コンサートは自主公演が主流であること(名の知れた演奏家も例外ではない)

CDは多くをアーティスト自身が買い取らねばならないこと

 

を、ご自身の経験を交えて明かされています。

 

そしてこう記されています。

 

「自主公演&CD買い取りピアニストには、大変なお金がかかります。

ホールの規模にもよりますが、キャパ五百~七百名のホールでリサイタルを開くとすると、かかる費用はホール代、楽器代、チラシ、プログラムなどの印刷代、マネージメント代行手数料などで計二百万円ぐらい。チケット代を一枚四千円としても招待席のぶんを差し引いて、満席でもトントンというのがこの世界の常識です。つまり公演では儲からないのです。

CDはたいてい大赤字です。私の「水の音楽」の場合、五百枚の買い取りが条件でした。アーティストに卸す価格は定価三千円の三割引きですから、ほぼ百万円。ところで、いただく印税は三パーセントですから、一万枚ぐらい売れないとトントンにすらならないという計算ですネ。」 (「ボクたちクラシックつながり」P194)

 

私自身の経験をいいますと、

 

オーディションを勝ち抜いて出演機会を得た、

補助金が出るというリサイタルでさえ、

 

チケットノルマ50万円が必要と言われました。

オーケストラとの協演となると、その倍くらいの負担がありました。

 

チケットノルマなので、

すべて売れればよいわけですが、

 

音大卒業したての人脈も実績も乏しい音楽家には、

なかなか厳しいものがあります。

 

このように、音楽活動にはおカネがかかります。

 

音楽をするために、

就職して原資となるおカネを得ることは、

 

ひとつの可能性として、大いにアリなのです。

 

■時間の確保が課題

一方で、就職しながら音楽活動をするには、

課題もあります。

 

一番の課題は、練習時間の確保でしょう。

この点は、私もとても苦労しています。

 

必然的に、出勤前と帰宅後しか弾く時間はありません。

 

防音室を設置するなり、

早朝や夜遅くても弾ける環境を確保することは、

マストと言えるでしょう。

 

就職先の労働時間がどうか、というのも大きな問題です。

連日深夜残業を強いられるようでは、

音楽活動どころではなくなってしまいます。

 

就職活動をする際、

既にその企業で働いている人に、

社内のリアルな話をきけると良いですね。

 

今では、企業説明会等で、

社員と話せる機会を設けている企業がたくさんあります。

 

そうした機会を捉えて、

残業の実態や、有給休暇の取得のし易さなどをきいてみることは、

 

とても大事だと思います。

 

■おわりに

ここまで、就職は

 

音楽活動をするために必要なおカネを得られること、

その代わり、練習時間の確保などの課題もあることを書いてきました。

 

メリット・デメリットはあるものの、

決して、就職=音楽を捨てること ではないことは、

お感じいただけたのではないでしょうか。

 

未婚率の増加、

男女間の役割意識の変化、

男性の平均年収の下落傾向、

長寿命化による必要な老後資金の増大といった社会経済環境の変化を背景に、

 

今後おカネについて、無頓着ではいられない音楽家が増えると予想されます。

 

このような選択肢を選ぶ音楽家も増えてくるでしょう。

 

長くなるので割愛しますが、

就職はおカネ以外にも、

人脈や視野の広がり、やりがいなど、多くのメリットがあります。

 

 

就職=音楽を捨てること

 

なんて考えずに、

 

積極的に社会に出て、活躍してください。

それは社会にとっても、あなたの音楽にとっても、プラスになるはずですから。

 

それではまた!

今日も素敵な音楽を奏でましょう♪


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